12.25.2017

ひとのいない街

今回の内容

・ひとのいない街

・なぜ、ひとが戻らないのか




さま、こんにちは。

今回は、訓練期間中、休日を利用して参加した

スタディーツアーについてご紹介します。

「おまえ訓練の様子書くって言っといて早速休みの話って」

・・・と言われてしまいそうですが、

まあ僕の訓練なんかよりこっちの情報の方がよっぽど大事なので。






7年間ひとのいない街



確には(約)7年間ですが・・・

下の写真、なにか違和感を感じませんか?






この画像、福島県の原発事故被災地域である、帰宅困難区域の

境界付近で撮影したものです。

一見、きれいな道路に見えますが、一点、異様な点があります。

それは落ち葉です。

道路の落ち葉を見てみると、ほとんどふみ跡がなく、立派な道路なのに

車が通っていないことが分かります。

立ち入りが許可されたり、避難指示が解除されたりしても、

訪れる・戻ってくる人は極めて限られているのが現状です。




練所が福島にあったこともあり、休日に福島県の原発事故被災地域を

視察し、その地域の方々からお話をいただくスタディーツアーに参加しました。

今回と次回はその様子を書かせていただきます。

まずは、被災地域の写真を見ていきましょう。


シャッターがひかれています。

これは帰宅困難地域の写真です。

人の立ち入りが困難な、放射線量の高い地域です。

こういった地域では真っ白な防護服を着た警備員もちらほらと見られます。

不謹慎だったらごめんなさい。見た瞬間、

「バイオハザードだ・・・」

そう思いました。

映画やゲームの世界でしかなかったものを目の当たりにすると、

怖いです。





地震で崩落した店舗が、当時のまま放置されています。

線量が高い=復旧のめどが立たない

ため、瓦礫や廃墟が撤去されず、ほぼ震災当時のまま放置されています。





緑のシートがかけられているもの、何だと思いますか?

汚染土です。

表層を除染した際、汚染土を袋詰めし、山と積んであります。

1箇所だけではありません。このような汚染土の集積地はかなりの頻度で、

あちこちに見ることができます。





福島県沿岸部も津波の被害に合いました。

他の津波被害地域と大きく違う点は、

まだ瓦礫や建物が片付けられていないところ。

線量が高いため、人が戻ってくるめどが立たず、瓦礫も放置されています。

(この写真では見られないものの、)こういった多くの「草原」では、

セイタカアワダチソウが群生しており、生物圏的にも、外来種がはびこるのは

なんだかなあ・・・という気がします。

宮城県などでは土地の嵩上げが進んでいますが、このエリアは今後も長く

このままなのではないでしょうか。






なぜ、ひとが戻らないのか



宅困難地域を中心に写真を掲載しましたが、

避難指示は解除が始まっています。

勿論、線量が高く、指定解除が不可能に思われる地域も沢山ありますが、

少しずつ、「ルール上」帰宅が可能な地域は増えています。

ですが、指定が解除されても、多くの場合人が戻ってきません

そこにはいくつか理由がありますが、まず事実として

  ・お子さんのいる家庭はリスク管理のため戻らない傾向が強い

  ・避難先で生活を再建したため、戻れない

  ・生活インフラが復旧していないため、帰宅先で生活できない

この3点が挙げられます。

Ref. https://www.nikkei.com/article/DGXZZO13850390Z00C17A3000000/



こからは話し手さんに伝え聞いた話と、私自身の考えですが、

まず復興と復旧は違うという事。

避難勧告が解除され、帰宅できるようになった、

水道や電気などのライフラインもある、寸断された道路も戻った、

そういった「復旧」がなされたとしても、それイコール

「復興」という訳にはいきません。

「復興」とは、いったん衰えたものが、再びもとの盛んな状態に戻ること。(大辞泉)

つまり、インフラが復旧しても、

コミュニティが復活しないと復興にはならないのです。

そして、復興に必要な復旧は、ハード面だけではないと思われます。

経済屋の視点から見ると、経済的なインフラが全く復旧していない。

言い換えると、ハードである道路やライフラインなどは整っても、

幼稚園、学校、病院、商店など、

ソフトを担うサービスが復旧していないため、

その地域で生活ができないのです。



これは由々しき問題です。

なぜなら、子育てや買い物ができる「ソフト」が無い限り、

サービスの担い手である生産年齢層が戻ってこず、ソフトが整わない

=ソフトが無いからソフトが復旧しない

という鶏と卵状態になっているからです。



それでは、希望は無いのか?



あります。



・・・ですが、気づけば今回も長々と書いてしまっているので、

この辺にしておいて、また次回、フクシマの抱える他の問題と合わせて

考えてみたいと思います。






ご注意



回の内容は、完全に部外者の視点で、限られた時間の中でちょろっと

見ただけの人間が書いています。事実の一端を示そうと気を付けてはいますが、

勿論、これが事実すべてを反映しているわけではありません。

福島の問題は原発事故に端を発した経済・心理・健康など、複数分野にまたがる

複合災害ですので、1つのブログ記事で問題すべてを洗い出すことはできません。

ひとの感想を読んで、少し興味が湧いたら、ぜひ現地に足を運び、

様々な立場の人間から情報をいただくことをお勧めします。


今回掲載した写真・記事を不快に思われる方がいらっしゃいましたら、

コメントにてご一報ください。即刻修正・削除いたします。