今回の内容
■調査を始める前に
■ケニアのスーパー探検
皆さんこんにちは!
前回から時間が空いちゃいましたが・・・
ケニアに来てから1週間ちょっと。なんとか食料を仕入れたり、交通を確保したり、生活ができるようになってきました。
さて。
移住してまず、やることは?
そうだね、スーパー探検だね!
・・・ということで、今回はスーパー探検の模様をお伝えいたします。
観光地巡りの前にスーパー?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、スーパーというのは、日常生活を送るのに必要な物資を置いている場所です。つまり、現地の人々の生活が最も色濃く表れるのが、スーパーなのです。
どんな人が店員で、どんな人がお客さんで、客単価はどれくらいかな。
そんな視点でスーパーに張り込んでいるだけでも、現地の文化についてかなりの情報を手っ取り早く手に入れることができるのです。必需品を揃えて生活基盤を築くためにも、現地文化をササッと把握するためにも、まずはスーパーを探検しましょう!
実は、スーパー探検と合わせて、量的調査・市場調査や質的調査の方法についても書きたかったのですが・・・また記事が長くなりそうなので、次の機会に。今回はケニアのスーパーのご紹介に集中します!
調査を始める前に
前置きが長くなりましたが、ここでフィールドワークのポイントを簡単にまとめたいと思います。いきなり靴を履く前に、計画を立てることは調査の基本です!何を、どうやって見て、どんなことを明らかにしたいのか、しっかり整理してから出かけましょう。
1. 調査の焦点を絞る
どこを見たいのか、あらかじめ書き出しておきます。
対象を「ケニア人」みたいな広い設定にすると、データが広く浅くなり、質的調査のメリットが出なくなります。
「スーパーで買い物をしているケニア人」のように、結構絞るとうまくいきます。
2. 仮説は変わるもの
最初に1本の仮説に決め打ちしてしまうと、どうしてもその仮説に寄って解釈を行ってしまうという性が、すべての人類に存在します。
データを集めながら、仮設を立て、検証・否定し、その結果を受けて調査法を修正し・・・と言ったように、調査しながらフレームワークを変更していくことで、「仮説を立てたせいでバイアス(偏見)が入る」という事態を防ぎます。
3. 5W1H
いつ、だれが、どこで、何を、どのように、なぜ、と言った問いかけに沿って情報を集めます。
これは人の行動に限りません。例えば品ぞろえなんかも、季節や時間帯によって変動しますので、いつ、どこで、何を、なぜといった要素は非常に重要です。
4. 記録する
調査に入った時に、ただ見て終わる、聞いて終わるという人が多いのですが、人間はどんどん忘れます。
調査したらすぐに文書に残すこと!何を隠そう、今回の記事は私の記録の役割も兼ねています。
これら4つのポイントをおさえつつ観察していくわけですが・・・
スーパーマーケットに限らず、これらの視点を持って生活をすると、カルチャーショックを最小限に抑え、冷静に取るべき行動=適応の開始ができるのです。
さて、前置きが長大になってしまいましたが、いよいよスーパー探検といきましょう。私の調査表をそのまま載せても面白くないので、簡単に観察結果をまとめていきたいと思います。
ケニアのスーパー探検
まずケニアのスーパーを見て気づくのは・・・セキュリティが厳しい!
ケニアの治安についてはまた別枠で書きたいと思いますが、首都ナイロビではテロや犯罪などが多いので、ほとんどのスーパーで金属探知機のゲートとガードマンを見ることができます。スーパー内の銀行の近くにはアサルトライフルを持った軍人さんが張り込んでいたり、けっこう物々しい。(写真を撮ると拘留されるのでお見せできません!)
Q どんな人がいるのかな。
スーパーにいる人を見てみましょう。
まず買い物客は、結構いろんな人がいます。
一番多いのはアフリカ系で、ほとんどがお母さんたち。小さい子供連れで来ていたりもします。男性客はほとんど見ないです。
このことから、アフリカ系ケニア人男性の多くが家事に従事していないことが伺えます。(ケニアのジェンダーについてはまた別枠でご紹介。)
次に多いのがアジア系で、インド系、中東系が多数。たまに中国人もいます。ケニアは歴史的にアフリカの玄関口だったこともあり、特に海岸沿いでイスラム教徒が多数。中東やインドからも沢山人が入ってきていて、見た目はインド・中東だけど生まれも育ちもケニア!という方が沢山います。
白人さんたちもぽろぽろいます。旧宗主国がイギリスだったこともあり、昔は沢山の白人さんが住んでいたそうですが、独立後、数が減って、いまではちらほら見かける程度です。
スーパーで働いている人達ですが、これは意外なことにほぼ男性です。レジ打ちから野菜売り場に至るまで、20人ほどの従業員のうち、1人を除いてすべて男性でした。
これは後から聞いた話ですが、女性は結婚や出産ですぐ仕事を辞めるから男性を優先して雇うことが多いそうです。
つまりスーパーのレジ打ちはパートさんではなく社員さん!
恐らく人件費が安いのでバイトやパートといった枠組みが成立しにくいのでしょう。
Q 何を売っているのかな。
ケニアのスーパーに売っているものは、商品群的には日本のスーパーとほとんど変わりません。野菜、お肉、魚、日用品に化粧品・・・ただ、もちろん製品のラインナップは違います。多くの製品がイギリスから流れてきているようで、見たことあるシリアルや、なんと!かのマーマイトさんまで売っています。
一時期ニュージーランドで過ごしていた筆者としては、この点においてはNZとケニアは共通しているな、と感じます。(マーマイトに苦しめられた苦い記憶が蘇りますが・・・)
イギリス製に限らず、並んでいるものはほとんど輸入品です。キッコーマンさんのお醤油なんかも並んでいますが、やはり高い。肉、米、野菜など、アフリカで生産できるものは非常に安いのですが、輸入品や魚介類など、ひと手間かかる商品は総じて高いです。
更に一つ、気づいたことが。
商品カテゴリによって、値段の幅にばらつきがあるのです。
例えば、ソフトドリンクやシリアルなんかはほぼすべての商品が同じ値段で売られており、価格競争が激しいことが伺えます。
しかし、嗜好品、特にシャンプー、リンス、ボディウォッシュなど、美容品に関しては安いものと高いものの差が極めて大きいのです。そしてそれらは、高額商品であっても、ケニア人は買っているようです!
ここから分かることは、美容品に関しては単純な価格競争ではなく、「付加価値」が機能しているということ。
「いいものがあれば高くても買いたい」
という、美容への高い関心が伺えます。
特に高額だったのがロレアルです。
一番安い(私の使っている)シャンプーが1Lで175 ksh(約170円)なのに対し、ロレアルのシャンプーやコンディショナーは375mlで695 ksh(約680円)。その差、単価にして10倍以上!
JETROさんの市場調査でケニア人が美容・ファッションに極めて高い関心を示すという情報は仕入れていましたが、どうやら信憑性は高そうです。
ロレアルさんも何年か前にケニアの地場の化粧品会社を子会社化するニュースが流れていましたが、ブランド戦略は奏功している可能性が高そうですね。
見慣れたものだけでなく、当然、ケニアで初めて目にする商品も沢山あります。
先輩隊員にお勧めされたのが、このセメント状の洗剤。
めっちゃ落ちます。今まで目にしたものの中で最高です。使い方が少し特殊なので、またいつかご紹介しますね。
そして我らがTUSKER。今晩もお世話になります・・・
(1本180円くらいです。やっぱり日本でインポート品を買うより格段に安い。)
あと、お魚でティラピアがかなり売られています。値段もそこそこするのですが、買って塩焼きにしてみるとすごくおいしかったです。
ここまでざっと見物して、いくつかの仮説を立てることができました。
1.ジェンダーは極めて強い
2.多様な宗教・民族が共存
3.旧宗主国の影響は生活に残る
4.生活に余裕がある層も一定数存在
これから、ケニアの人々と関わる中でこの仮説を検証していきたいと思います。
今回はここまで!
読んでいただいてありがとうございました!
次回予告ですが、上の仮説を確かめるチャンスが意外にも早く訪れました。何回かに分けてその内容を書きたいと思います。
そして、やると言いつつやっていない筆者の青年海外協力隊員としてのお仕事の内容ですが、1/22(月)に乗り合いバスに乗って一人旅し、配属先の方とお会いすることになりましたので、その結果を踏まえて記事にしてみたいと思います。。。
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